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デカの昔話Part2

こんにちは!

契約課の金杉です。

 

前回の昔話がおかげさまで大好評でしたので、

以前刑事(デカ)というあだ名で用地仕入れをやっていた頃のお話をもう一つさせていただきます。

毎月のことでしたが、月も半ばを過ぎて私は焦っていました。

気分を変えようと、私は席を立つと上司のもとに行き耳元でこう言いました。

「昼飯は何ラーメンにしますか?」

上司は半笑いの表情で私に返します。

「ラーメン限定かよ!俺はご飯食いたいんだけどなぁ………。

っていうかお前今月まだノルマ達成してないだろ!」

芸人並みのテンポで返された私は、思わずのけぞり気味になりながら

とりあえず出まかせで「業者訪問行ってきます」と会社を出ようとしました。

その時、お客様の来店を知らせるチャイムが鳴りました。

お客様の席への案内を終えた受付の女の子が、

スタッフルームにいた私に「売却相談みたいですよ」と言いました。

席に向かうとそこには60歳代くらいの、少し失礼ですがどこか具合が悪いのではないか

というような顔色をした男性が座っていました。

男性から内容を伺うとこのような依頼でした。

自宅が火災で全焼してしまったが、

火災保険に入っていなかったため解体する費用が全くないとのこと。

そのため、燃え残った建物ごと土地を買いとってほしいという依頼でした。

 

その場合は土地の買い取り金額から解体費にかかる費用を減額させていただくことと、

火災にあった建物の解体費は通常よりも割高になってしまうことを説明しました。

私はなんとか月内契約をして、心おきなくどんなラーメンでも

食べてやろうと考えながら急いで現地に向かいました。

現地を確認すると立ち入り禁止のロープが張り巡らされていました。

 

そして、その焼け跡は完全に燃え切った煤の塊となった

真っ黒な柱がポツンポツンと立っているだけでした。

 

「………。」

 

私はここである違和感を感じたのですが、これは最後にお話ししようと思います。

 

事務所に戻り解体費用や造成費を算出すると、

なんとか売主の希望額で買えそうなことがわかりました。

そしてさっそく売主に電話をかけました。

「〇〇様、ご希望通りの〇〇万円で買い取らせて頂きます。

社内稟議が通り次第契約日を設定させていただきます」

 

電話の向こうで、ほっと安堵する売主の息遣いを感じ

私も何か人助けをしたような気分になっていました。

稟議書を作成している時に、

後輩が提出した役所調査の報告書を見て「あれっ」と思いました。

その報告書にはある項目の確認が漏れていたのでした。

 

このようなケースでもしその項目に該当することがあると、

非常にまずいことになるものでした。

まさかとは思いながら、私は役所に電話で問い合わせをしました。

「埋蔵文化財包蔵地の照会をしたいのですが」

「かしこまりました。住所をおっしゃってください」

「〇〇市〇〇の〇番地です」

「〇〇遺跡ですね。遺跡番号は〇〇の~」

私は、そのまさかが起きてしまったことに呆然としてしまいました。

遺跡が発掘されたことがあったり発掘される可能性が高いエリアを

「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。

そのエリアは市役所の担当課が文化財保護法にもとづいて指定します。

建物を解体したり新築するなどの地面を掘る工事をする場合は、

事前に市役所に届け出を行い遺跡調査を受けなければなりません。

土地の所有者が「個人」であれば遺跡がもし発見されても

公費で発掘をすることが可能なので再建築までに

時間がかかってしまうリスクのみ負うこととになりますが、

今回のように解体費を減額して会社が買い取るようなケースでは、

所有権が私の会社(不動産業者)に移転してから解体、新築となるため、

もし遺跡が発見された場合、法人には公費が全く支給されません。

場合によっては長期間新築が建てられないまま発掘費用と

銀行への借り入れ金の返済を負担しなければなりません。

私は役所の担当者に所有者個人のうちに建物の建っていない場所で調査を行い、

遺跡が出なかったら会社に所有者が移転した後も

調査不要と判断してもらうことは出来ないか相談しましたが、

そのような都合の良いお願いは聞いてはもらえませんでした。

 

あきらめきれない私は、役所の窓口で現在の建物建築時に遺跡が出ていないのだから

調査済みと判断してもよいだろうとさんざん粘ってみたのですが、

役所の担当者からの回答は、解体した後の建物の基礎の下も調査しますというものでした。

 

これではなんとか売主に解体費用を用意してもらうほか方法はありませんでした。

そのことを男性にお伝えすると「買い取ってくれるっていったじゃないか!」と

突然怒鳴られて電話をガチャンと切られてしまいました。

 

 

電話の奥から聞こえる声にのって、湧き上がってくるように私の耳に届いた感じた怒りの感情は、

現地を調査した時に私が建物に漂っている激しい怒りの感情を感じて、違和感を覚えたものと同じものでした。

おそらく彼はすでに文化財のことを他の不動産者から聞いて知っていたのではないでしょうか。

電話を切ると、気分を変えようと私は上司のもとに

「今日の昼飯は何カレーにしますか?」と言いながら駆け寄っていったのでした。

※試掘調査で遺跡が発見され本掘となった場合の公費の支給についての記述は、

私が担当した某市の基準によるものです。基本的には所有者負担での発掘調査になります。

※写真はイメージです。

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